【イベントレポート】みんなのデザイン研究所 #06「AIで変わる、クリエイターの仕事とこれから」を開催しました!

公開日:2026/10/8

みんなの学校の黒葛原 道です。

2026年9月26日(土)、宮崎市のGMO Yours(GMO hinataオフィス)で「みんなのデザイン研究所 #06『AIで変わる、クリエイターの仕事とこれから』」を開催しました。お申し込みは定員の60名に達し、当日は会場いっぱいの熱気のなか、AIとクリエイターの「これから」をみんなで考える4時間半になりました。

みんなのデザイン研究所とは

「みんなのデザイン研究所」は、みんなの学校が宮崎で開催しているリアルイベントです。毎回テーマを決めて、現場で活躍するクリエイターをゲストに招き、デザインや仕事についてみんなで考えています。

イベント概要

  • イベント名:みんなのデザイン研究所 #06「AIで変わる、クリエイターの仕事とこれから」

  • 日時:2026年9月26日(土)14:00〜18:30

  • 会場:GMO Yours(GMO hinataオフィス)

  • 主催:みんなの学校

  • 協賛:GMOインターネット株式会社、アドビ株式会社

はじめに:AIの時代、「つくる仕事」はどうなる?

画像も、文章も、動画も、AIが「それらしいもの」を一瞬でつくってしまう時代になりました。便利さに驚く一方で、「この先、自分の仕事はどうなるんだろう」と小さな不安を抱えているクリエイターも多いのではないでしょうか。

そこで今回は、事業会社のデザイナー・映像クリエイター、クリエイティブ会社の経営者、フリーランスデザイナーという立場の違う3者が、それぞれの現場からAIとの付き合い方を持ち寄りました。現場で使っているツールの具体的な話から、AI時代にクリエイターがどう臨むのかという考え方の話まで、抽象と具体をいったりきたりする構成です。

開場前から盛り上がった「クリエイターあるある」

受付の横では、ConoHaのみなさんによる「クリエイターあるある」企画が行われていました。付箋に自分の「あるある」を書いてボードに貼ると、ConoHaのステッカーなどがもらえる仕掛けです。

開場と同時に参加者がペンを手に取り、ボードは少しずつ色とりどりの付箋で埋まっていきました。アクリルスタンドやうちわなどのグッズも並び、セッションが始まる前から会場はにぎやかな雰囲気に。

まずは趣旨説明から

14時、主催の黒葛原からのオープニングでスタート。イベントの趣旨やタイムテーブル、アンケートのお願いなどをお伝えしました。

登壇① GMOインターネット株式会社:宮崎で作る、内製クリエイティブにおけるAI活用術

トップバッターは、GMO hinataオフィス(宮崎)を拠点とするGMOインターネット株式会社のクリエイティブチームです。「GMOのAI活用」「動画生成AI」「ConoHaデザイナーズの事例」の3部構成で、実際のサービス運用のなかでAIがどう使われているのかを紹介していただきました。

藤本 雄介さん:GMOインターネットグループのAI活用

最初に、クリエイティブ部で管理職を務める藤本 雄介さんが、グループ全体のAIへの取り組みを紹介。非エンジニアのパートナー向けに2024年2月から始まったリスキリング施策「虎の穴」や、毎月開催されているオンラインAIセミナーなど、全社でAI活用を推進する仕組みがあることが共有されました。

また、国内クラウド事業者で初めてClaudeコネクタを提供した「ConoHa VPS」や、生成AIの開発・学習に必要なGPUを提供する「GMO GPUクラウド」など、AI産業に向けたサービスについても紹介。クリエイティブの現場では、Claude CodeとFigma MCPを使って既存のHTMLをFigma上でコンポーネント化し、人はAIの生成物を最終確認するだけという状態をゴールに取り組んでいるそうです。

宮本 鷹実さん:動画生成AIで、撮影せずに映像をつくる

続いて、映像チームの宮本 鷹実さんが動画生成AIについてお話しくださいました。元県庁職員で、映像のキャリアは7年目。ConoHaやGMOとくとくBBの広告動画などを制作しています。

まずは会場参加型の「生成体験コーナー」から。「りんごがブレイクダンス」「車が空を飛ぶ」「猫がたくさん分身する」の3つのお題から、会場の挙手でテーマを決めてその場で動画を生成するという企画です。

生成を待つあいだに、実際の制作ワークフローを紹介。企画段階ではClaudeで構成の壁打ちや文字コンテをつくり、Fireflyボードや画像生成AIでカット画像を生成・加工して絵コンテに。HiggsfieldやKlingで映像を生成して仮組みし、最後はPremiere Pro・After Effects・Auditionで本編集と整音を行うという流れです。約5分のデモムービーでは、実際に手を動かしている様子も見せていただきました。

補足として挙げられたのは、次の3つです。

  • プロンプトは使う生成モデルに最適化する(例:「GPT Image 2に適したプロンプトにして」とClaudeに頼む)

  • 動画生成では「無言プロンプト」もアリ(カット画像だけ渡したほうが結果が良いこともある)

  • AIが使えても、いい映像がつくれるとは限らない(デザインやカット割りの技術は依然として必要)

商用利用の可否や、著作権・肖像権を侵害していないかの確認など、権利関係の注意点にも触れていただきました。そしてお待ちかねの生成結果は、見事にブレイクダンスを踊るりんご! 会場で選んだお題が、その場で映像になっていく様子を体験できました。

馬原 愛美さん・米元 朋華さん:宮崎ConoHaデザイナーズの内製AI事例

第1部の締めくくりは、ConoHaデザインチームの馬原 愛美さんと米元 朋華さん。質問に答えていくQ&A形式で「素材生成」「業務連携・効率化」「ブログ」の3テーマについてお話しいただきました。

素材生成では、ConoHa公式VTuber「美雲このは」の誕生日イベント「このはぴば!2026」の特設LPを例に、イメージに合う素材が見つからないときはAIで生成し、FigmaのAI機能で必要な部分だけ切り出して配置していることを紹介。ConoHa WINGのInstagramでは多い月で70枚ほどの画像を制作するため、Illustratorの「ベクターを生成」でポーズ違いや人物違いのイラストをつくっているそうです。「配置や使いやすさまで考えて生成する」「変更したい部分・しない部分を明確に指示する」など、具体的なディレクションが精度と効率を高めるというお話が印象的でした。

業務連携では、静止画や言葉だけでは伝わりにくい動きを、Claude Codeで「実装イメージ」としてつくってコーダーさんに共有し、実装後の手戻りを減らしている事例を紹介。ただし動く試作は完成形に見えやすいため、「参考にしてほしい部分」と「再現不要な部分」をはっきり伝えるようにしているそうです。社内のコーダーさんが開発したサイト品質チェックツール「Quality Crawler」を使い、コーダーとデザイナーの2人1組でスコア改善に取り組んでいる話も、内製チームならではのリアルな取り組みでした。

ブログでは、自分の文章の癖を読み取って記事を生成してくれるGPTや、日々のチャットや作業ログをそのまま記事の材料にする方法で、通常2〜3日かかっていたブログ執筆が1日で完成するようになったとのこと。最後は本人が読み直してズレを修正する、という一手間も大事にされていました。

スポンサーセッション:ConoHa WING

休憩前には、協賛のGMOインターネット株式会社から、ConoHa WINGのアフィリエイトを担当する山之口 絵里さんによるスポンサーセッションがありました。ドメイン・サーバー・サイトのコンテンツの関係をわかりやすく解説いただいたうえで、Claude CodeやCursorなどのAIエージェントでつくったページを公開できるスキルなど、クリエイター向けの機能を紹介。参加者限定のクーポンもプレゼントしていただきました。

登壇② 遠山 貴一さん(株式会社ハナビヤ):会社全体をAIでスクリーニング。無駄な作業は消してしまえ

2人目の登壇は、宮崎の広告制作会社・株式会社ハナビヤ代表取締役の遠山 貴一さん。グラフィックデザイナー、CMディレクターを経て、現在は社員約30名の会社の経営者として、社内の仕組みづくりやDXにコミットされています。

冒頭で「エンジニアではありません。プログラムは書けません」と前置きしたうえで、持ち帰ってほしいのはAIの使い方(HOW)ではなく「WHYの着眼点」だとお話しされました。AIの使い方は来月には変わるけれど、「どこを見れば無駄が見つかるか」は変わらない、というわけです。

ハナビヤの仕事の80%はPCの中で起きている。そして、つらいのは作業そのものではなく、入力やコピペ、データの移し替えといった「つなぎ目」の作業。作業に入る前の「めんどくせぇ」を削ぎ落とせば生産性は上がるのでは、という仮説から取り組みが始まったそうです。

経営者の仕事は利益を最大化すること。そのための道は「無駄を省く」「生産性を上げる」「売上を上げる」の3つしかない、という整理のもと、それぞれの可視化の方法が紹介されました。

  • 無駄を省く:クラウド会計とAIをMCPでつなぎ、支払いを棚卸し。バラバラのSaaSを見直し、kintoneからGoogle Workspaceへ土台ごと移行。5月に決めて7月1日には完全移管し、名刺管理や勤怠管理、承認フロー、日程調整などを遠山さんとClaudeの2人だけで内製化

  • 生産性を上げる:データはGoogleドライブ、ノウハウのログはNotionと置き場所をルール化。さらにPCの操作ログをAIが日報にする実験では、ブラウザとExcelのコピペが1日に数十回、誰かの返事待ちや承認待ちが1日1〜2時間あることが見えてきたそう

  • 売上を上げる:過去の案件データから、2年以上取引のない会社をAIで洗い出し。誰に営業するかを、勘ではなく数字で決められるように

一方で、ブログからSNSへの自動投稿が途中で止まっていても誰も気づかなかった、という失敗談も。「自動化より先に、止まったら気づく仕組み」「AIは下書きまで、公開は人」という教訓や、「お金と顧客のデータはAIに書き換えさせない」「決定ボタンは社長が押す」といった零細企業だからこそ守っているルールは、管理者の方にも独立を考えている方にも響く内容でした。

最後は「『めんどくせぇ』を消した先に、飲みに行く時間が増えるんじゃないかな」という一言で締めくくられました。

登壇③ 黒葛原 道(Purr):デザインの仕事は、何度も「終わって」きた

3人目は、デザイナー歴27年、フリーランス歴22年の黒葛原が登壇しました。

最初のテーマは「AIは止められない、止まらない」。「楽で便利でコスパがいい」をみんなが求める以上、それを止めてまで既存の権益を守り切った例は歴史上ほとんどありません。だからこそ、これからのクリエイターの仕事にもAIは必須スキルだという前提を共有しました。

そのうえで、SNSでよく見かける「AIでデザイナーは不要になる」という言葉に対して「はぁ?」と問いかけ、条件付きで強く反対。ただし、細部の違和感に気づく「プロの目」では70点でも、パッと見の美しさや実用性を重視する「一般の目」では100点に見えることもある。デザイナーが常に70点以上を出せていないのであれば、「AIでいいやん」どころか「AIがいいやん」になってしまう、という厳しい現実にも触れました。

振り返れば、デザイナーの仕事はこれまでも何度も「終わって」きました。MacとDTPの普及で写植や版下がなくなり、CSSの登場で見た目と構造を分けて考え直すことになり、スマートフォンの登場でレスポンシブを前提に設計し直すことになった。今回のAIも、その延長線上にある3回目の大きな転換点だとお話ししました。

また、「AI時代はディレクションや経営寄りの上流工程に進むべき」という意見に対しては、「今できていない人が簡単にできるわけがない」「上流に行くほど誰も教えてくれない」と反論。必要なのは、良さや違和感に気づく審美眼、どれが適切かを見極める判断力、そして不確実でも「これにする」と決める決断力だと伝えました。

その力を育てる方法としてお伝えしたのが、「見ろ!知れ!考えろ!」というインプットと、「伝えろ!作れ!」というアウトプット。昔から厳しい先輩に言われてきたような、デザイナーとして当たり前のことを当たり前にやる。その普遍的なスキルを高めたうえで、AIで能力をブーストすることが大切だと考えています。

これらのスキルを身につけることで、生成する上でしっかりとしたプロンプト設計や、出力に対しての解像度が上がります。

デモでは、Adobe Fireflyで実際に生成した画像を元に、生成する際のポイントや、トリミング等の後加工の大事さを解説しました。

また、AIで作った制作物の実例として、イベントプラットフォーム「illmo」も紹介しました。Claude Codeを指揮とレビュー役に、Codexを実装役にして、着手から43日で一般公開。TypeScriptで約48,000行のコードのうち、人間が書いたコードは0行です。実はこのイベントの申し込みページも、illmoでつくっています。

最後は「AIは止まらない。僕らも、自分の仕事を更新していこう」というメッセージで締めくくりました。自分はデザインで何をしたいのか。そのためにAIを使い倒して、できることを広げていく。まずは、つくりたかったものをひとつ、つくってみてください

パネルディスカッション:AIと仕事の、ホンネ!

最後は登壇者によるパネルディスカッション「AI × クリエイティブ ぶっちゃけトーク! AIと仕事の、ホンネ!」。藤本さんの進行で、遠山さんと黒葛原がトークしました。

スクリーンには「なるほど!」「やった!」「やっちゃった」「どうしよう?」「ぶっちゃけ」「もしも」という6つの切り口と番号が並んだ30マスのパネル。マスを選ぶたびにトークテーマが開き、AIでうまくいったこと、失敗したこと、迷っていることなどを、経営者とフリーランスそれぞれの立場から本音で語り合いました。

Adobeグッズプレゼント大会!

イベントの最後は、協賛のアドビ株式会社からご提供いただいたAdobeグッズが当たるじゃんけん大会! 会場全員で拳を突き上げ、最後の最後まで大盛り上がりでした。

懇親会もにぎやかに

セミナーのあとは、場所を移して懇親会を開催しました。登壇者やGMOのみなさん、参加者が同じテーブルを囲んで乾杯。セッションの感想や、それぞれの現場でのAIとの付き合い方など、話題は尽きませんでした。

会場では聞けなかった質問をしたり、普段なかなか接点のない人とつながったり。懇親会ならではの距離の近さで、最後まで楽しい時間になりました。

おわりに

参加者の皆さん、登壇者の皆さん、会場をご提供いただいたGMOインターネット株式会社の皆さん、そして協賛のアドビ株式会社の皆さん、ありがとうございました!

事業会社、経営者、フリーランスと立場は違っても、「AIは特別なものではなく、道具のひとつ」という点は共通していたように思います。アンケートでも「AIはツールである、ということを強く感じることのできるセミナーでした」「相談できずにモヤモヤしていた悩みが少し晴れてきました」といった声をいただきました。

AIで仕事がどう変わるのか、正直わからないことはたくさんあります。それでも、これまで見て、知って、考えて、伝えて、つくってきた経験は、AIを使うときにも活きるはずです。これからも、みんなで自分の仕事を更新していきましょう。

みんなの学校とは?

みんなの学校は、1人で頑張るデザイナーのためのコミュニティです。

デザインの相談や、デザイナー同士のコミュニケーションができます。

メンタリング・相談(1 on 1)

デザインやキャリアの悩みなど、なんでも相談OKです。

デザインのフィードバック

デザインやポートフォリオに対して意見・フィードバックを行います。
(例:ロゴ/チラシ/Webサイト など)

セミナー・勉強会

会員限定の勉強会やセミナーを開催。ゲスト登壇も企画しています。
(例:Photoshopレタッチ/アクセシビリティ/生成AIなど)

ミートアップ

週1回、オンラインでミートアップを開催しています(参加自由)。

テーマを固定せず、気軽に参加できる場です。

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