関西クリエイターコミュニティリーダーズトーク in さくらインターネット Blooming Camp

公開日:2025/3/4

大阪梅田に新しくオープンした「グラングリーン大阪」の北館3階、さくらインターネットのオープンイノベーション施設「Blooming Camp(ブルーミングキャンプ)」

「みんなの熱量を共鳴させ、新しい一歩を踏み出す場」というコンセプトで運営される本会場で、関西で活動する3つのクリエイターコミュニティのリーダーによる「クリエイターコミュニティリーダーズトーク」が開催されました。

2013年から大阪で年一の交流イベント「クリエイター祭り」を開催し、クリエイターの独立支援を手掛ける有料招待制クリエイターギルド「THE CREATIVE」のカッシー(樫本 祐輝)さん、関西にとどまらず、全国で交流会を開き勢いを増す「一般社団法人 KCA(関西クリエイター協会)」の中井 大介さん、様々なクリエイターと企業のコラボを実現する「クリエイターズラッシュ!!」の侘助/グリッグさんの3名がゲストスピーカーとなり、関西のクリエイターを率いる三者三様のコミュニティトークを展開。

Blooming Campリードコミュニティマネージャー池嶋 亮さんの軽快なトークとともに、3つの画面にそれぞれのコミュニティリーダーが回答していく形式で進行しました。

コミュニティ情報比較

1.招待制クリエイターギルド THE CREATIVE / クリエイター祭り

運営会社:株式会社クリエイティブユニバース( https://c-u.co.jp

2.クリエイターズラッシュ!!

公式X:https://x.com/CREATORS_RUSH

3.一般社団法人 KCA(関西クリエイター協会)

公式サイト:https://kan-cre.net/

お題その1「なぜコミュニティを始めたのか?」

カッシー「切磋琢磨する未来を話せる環境」

昔フリーランスでシェアオフィスをしていた時、もっと夢や理想に向かって切磋琢磨したい想いがありました。

その後、フリーランスの記事を書いて発信したところ、Xでバズったりはてなブックマークで1位になるなどたくさんの人の目に触れられ、独立セミナーを大阪・東京で開催。多くの方が参加してくれる中で、悩むクリエイターの背中をもっと押せるサポートがしたいと、有料コミュニティの「THE CREATIVE」を立ち上げました。

僕は「クリエイティブな人に幸せを」という理念があります。コミュニティらしくバーベキューや合宿などもありますが、基本的には作業が好きなクリエイターが多く、さまざまなワークがコンテンツにあります。こうしたワークや毎週相談の場を設け、自分の強みや本当に欲しい未来をつくれる力を身につけてもらう。単発のセミナーでは伝えられないことを伝えたい一心で、10年以上続けていますがまだまだ伝え足りないなと感じています。

侘助/グリッグ「情報を共有し、お互いに成長できる場や、企画から一緒に作りたいと思った」

以前はアクセサリーのハンドメイド作家として活動をしており、ずっと職人的な働き方でイベントに出たり百貨店や店舗からオーダーを受けてその通りに作る日々を送っていました。

そのような環境で、作家同士の情報共有ができる場を作れたらいいなと思ったのが、コミュニティを考えたきっかけ。例えば、百貨店に出展する方法を知りたい人がいても、SNSではなかなか深い交流は難しい。

そしてコロナ禍になり、イベントや出展機会の減少から売上が90%ダウンという厳しい状況にも直面。そのとき、助け合える場所がなかったらどうなっていたか?と強く考えるようになりました。

さまざまなオンラインサロンを見るうちに「情報を共有し合う場所はすごく大事だ」と実感。クリエイターがアウトプットできる環境までサポートするような場所は見つけられず、自分でやってみようと2020〜2021年頃に立ち上げました。自分が楽しいから、続けられていると感じています。

中井「クリエイター同士の横のつながりを創出するため」

「飲み会がしたかったから」というのは冗談として。

活動を始めたのは8年前頃、当時は組織や企業に属することが主流の時代で、その頃からクリエイターは自分のサービスを届けるのが苦手な人が多く、つながりや助け合いが必要だと考えていました。

クリエイターは同業者とつながることで仕事の幅が広がり、知識の共有は助け合いの意味でも必要不可欠。だからこそ、僕はクリエイター同士がつながれる場を作ろうと考えた。

コロナ禍で孤立してしまう人が増える中でも、感染対策に気を配りながら活動を続け、気づけば8年で5,000人ほどの方々が参加する規模にまで成長しました。

「この場所があってよかった」と多くの方がコミュニティの重要性に気づいてくれたと感じます。「発電所」のようにエネルギーが循環する場になっていきましたね。

お題その2「コミュニティをやってて嬉しいのはどんな時?」

カッシー「ステージが変わる瞬間に立ち会う」

僕は企業にコンサルティングなどもしているため、売上が上がったという報告ももちろん嬉しいのですが、それよりも「ステージが変わる瞬間に立ち会うこと」が一番嬉しく感じます。

スキルやキャリアは10年以上あるけど、人脈も信用度もゼロ!そんな状態からWebサイトで仕事を依頼されるようになったり、ゲーム好きなライターさんがゲーム会社から問い合わせをもらったり、未経験の人が数年後に独立したり。その人の人生の角度が変わった瞬間に立ち会えることが、教育者としてもとても嬉しいです。

長く付き合っているからこそ、どんな知識やノウハウを伝えれば、ステージアップを実現してもらえるかを、ずっと探り続けていますね。

侘助/グリッグ「やりたかったことが出来たor叶った」

みなさんがやりたいと思うことに対して、できることはサポートしたい、という気持ちが常にあります。

僕は音楽が好きで、インディーズバンドをよくチェックしていて「このバンドいいな」と応援していた人たちが、メジャーデビューする瞬間は本当にたまらないんですよ。自分はずっと見てきたぞ!という誇らしさのような感覚。

それと同様に、才能のある作家・クリエイターさんは本当にたくさんいて、あともう一歩というところで止まっている人も多い。その人たちに対して、自分の役割として何かサポートできることで夢が叶ったと実感していただけると、一番嬉しく感じます。

中井「感謝されたとき、新しいシナジーが生まれたとき」

僕の場合は関わる人が多いこともあり、僕自身が介入して誰かを持ち上げたりつないだりはしていません。問題が起きる原因になりやすいからですね。

だからこそ、僕は旗を振って「待ち合わせ場所」を作るだけにしています。そこでみんなが自由に交流し、コミュニケーションをとって、新しいシナジーを生み出していってほしいと思っています。ここに来ればいろんな人とつながれるよと、そうした流れが生まれる場を作ることに徹底する。

それがきっかけで、実際に「夢が叶いました!」とか、「このコミュニティで出会った方と、こんなプロジェクトを進めています」といった報告をもらえる瞬間がめちゃくちゃ嬉しいです。

お題「どんなことを大事にしていますか?」

カッシー「20%成長と判断軸の共有」

THE CREATIVEのメンバーは、大学生から40代後半、デザイナー、イラストレーター、ライター、Web、動画などさまざまな職業の多様性があります。

スキルやキャリアがあるから上ではなく、未経験でもベテランでも「毎年20%成長するようなチャレンジをしている人がすごい!」を判断軸にしています。

また時代に合わせてコミュニティの判断軸もアップデート。2024年は理想がどこにあるのかしっかり考えようと「Next Stage」から自分がどこのステージに行きたいのか、しっかり見極めようをテーマにしました。

2025年は「Story Impact」を掲げ、人生を変えるようなインパクトあるストーリーを生み出すことを目指します。プラスチックのカードを作りメンバーにお守りのように配布もしています。判断軸の共有という側面以外にも、目標を忘れない、メンバー同士で切磋琢磨してもらえるきっかけにもなればと「20%成長」を目指せる仕掛けを、毎年試行錯誤しながら設計しています。

侘助/グリッグ「わくわく感から行動力を生み出すサイクル」 

僕はなによりも「わくわくすることをやりたい」という気持ちが一つ。

そして、クリエイターや作家さんにいつも伝えることは「行動力があってナンボ」だということ。行動しなければ、自分に返ってくるものは少ない。

人が行動するためには、まず「わくわくする何か」が必要で、その楽しさを第三者に届ける行動を起こせるかが大切です。「わくわく感と行動力」 の2つの軸。行動を促すためには、まずわくわくを届けることが必要だと考えています。

最終的に「第三者が同じ熱量で広めてくれるかどうか」がポイントで、自分が楽しいと思うだけでは自己満足で終わってしまう。そうではなく、周りの人が自分もやりたい!と賛同してくれるかどうか 「わくわく感が伝播していくこと」 が、行動力を引き出すうえで重要だと感じています。

「わくわく→行動→さらにわくわく」 のサイクルをうまく回していくか試行錯誤しているところです。

中井「新しいコミュニケーションが生まれる楽しい場を提供する」

よく事業者・経営者さんから「良いクリエイターさんはいないか」と相談されることがあります。でも、彼らが言う「良い」とは、必ずしもクオリティの高さだけではなかったりする。 一定のレベルを満たしたクリエイターはたくさんいますから。  

その中でどうやって選ばれるかは結局「人」で、最終的に決め手になるのはその人との相性や信頼関係、つまりコミュニケーションです。  

コミュニティでもまずは人としての交流から始まり、話が弾んで仕事につながることが多いです。僕らの役割は、「楽しい場を提供すること」で、わくわくする場を作り自然にコミュニケーションが生まれる場づくりがなによりも重要と考えています。  

文化祭のような熱気をどう作り出せるかを考えるのが楽しく、KCAでは審査のあるコンテストや変わったイベントをすることも多いですよ。

お題「リーダーとしての本音・悩みは?」

カッシー「もっと夢あるチャレンジへ」

THE CREATIVEでは、毎月1回の集中ワークDayや毎週相談の場を設けたりしていますが、どこにも来てもらえないと、やはり悲しいです。伝えられることがたくさんあったとしても、やりたいことや、知りたいことが見えないと渡せないというジレンマはあります。

クリエイターを支援する側としては、上を目指す・やりたいことを言ってくれる人のほうがサポートがしやすい。うちのコミュニティは有料なので、悩んだらすぐ相談してほしいと言い続けていますが、それでも聞いていいのかな?と遠慮する人も多いです。今の時代、何か夢を持っている人のほうが強い。

自分のイラストを世界中に届けたいとか、もっとみんなが上を目指せるような環境を作っていきたいです。これは10年以上活動していても、まだまだ試行錯誤している悩みです。

侘助/グリッグ「熱量の差」

運営していく中で感じたのは、「熱量の差」です。

例えば、「こんなことをやりたい」と投げかけたとき、受け取る側の気持ちや反応と、自分の持つ熱量にはどうしても温度差がある。自分が思っているほど相手はピンと来ていなかったり、逆にすごく興味を持ってくれたりもしますが、さまざまなプロジェクトを進めていく中で大きなギャップがあると気づきました。

その差をどう埋めていくかが、どんなプロジェクトを動かしていくときも、考え続けなくてはいけない課題だと思っています。一方で、ある程度「これはこれで良い」と割り切って進めることも大事だと最近は気づき、その点だけを思い詰めないよう気をつけてもいます。

いろいろな経験を重ねる中で、こういうものなのだと理解できるようになった感覚があります。

中井「属人性が高くなってしまいがち」

僕は自分がいないと回らないという状態は建設的ではないと考えていて、コミュニティ運営の課題がここにあると感じています。

裏側からサポートする方が性に合っているのですが、実際にコミュニティ運営を始めたとき、自分が前に出た方が回ると感じてフロントに立つようになりました。

その結果、僕がコミュニティのアイコンになり属人性の高い状態につながってしまっている。すべて自分がやるわけにはいかないのに気づけば手を出してしまう。

ここ数年の課題は 「任せる力をつけること」です。

今博多でやっている交流会は初回のみ参加し、現地スタッフや他のメンバーに任せています。

僕がいなくなってもクリエイターを支える場が存続し、次の世代が成長できる仕組みを作らないといけない。

「自分がやった方が早くて確実」という気持ちもわかる。でも、それを続けるとリソースの限界がくるため、どこかで任せる決断をしないとコミュニティも成長しない。どうやったらうまく任せられるのか?を、一番考えています。

リーダーへの質疑応答

イベント後半は、リアルタイムアンケートツール「Slido」を使っての質疑応答タイムを行いました。

会場からは「自分も企画をやってみたい」「コミュニティ以外でつながりをつくるには?」「新しいコミュニティをつくるとしたら、どんなコミュニティをつくりたいか」など、多くの質問が寄せられました。

中には、なぜパソコンにステッカーを貼らないのか?など、クスリと笑える質問も。一部の回答を抜粋してご紹介します。

質問①自分もグリッグさんのように企画をやってみたい。ただ熱量はあるものの、具体的にどう動きだせばよいか悩んでいる。みなさんのご意見を聞きたいです。

侘助/グリッグ

僕は場数を踏むタイプで、コツコツ地道に努力をしている方かなと。失敗もめちゃくちゃしていますし、その中で成功したものを絞っている。いろいろな経験をされている人とつながって、自分に合ったルート・立ち位置を見つけるのが良いのではないでしょうか。動いている方の近くにいるということも良い経験になると思います。

中井

熱量を持って行動している人と、一緒に行動すること。

いま行動できている人は「行動できるようになった人」で、上手くいかないというフェーズはまだ量が圧倒的に足りていない。人は環境の生き物なので、自分のなりたい理想に近い人となるべく一緒に行動できる環境をつくるのが良いと思います。

カッシー

「王道こそ最短」とコミュニティでは伝えています。

今回のイベントを例にしても、まずは企画書を出してみる。その反応の良し悪しが、今後のKPIになると思います。実際にこのイベントも、企画を出して良い反応を頂けたので開催ができました。アウトプットが重要だと思います。

質問②コミュニティに所属せず仲間をつくる方法はあると思いますか?

カッシー

利害関係が成り立つことは一つのチームと考えています。

少し異なるパターンで言うと、スクールを立ち上げて先生と生徒という関係性をつくる方法もあるかと。僕のコミュニティにはスクールの先生も意外と多いです。

侘助/グリッグ

今回のイベントを開催した「Blooming Camp」のようなイベントスペースを利用する、参加してみるとよいのではないでしょうか。

中井

それが難しいのでコミュニティを作った。

僕は営業経験があるので、自分で営業もしつつ制作もして...はいつか頭打ちになると考えています。手段だけに目を向けず、自分がどんな目的で行動を起こすのかをぜひ考えてほしいですね。

質問3.もしみなさんが今と異なるコミュニティをつくるとしたら、どんなコミュニティをつくりたいですか?

中井

やってみたかったこととしては、クリエイターが自分でサービスを届けられるようになってもらう、次世代の教育という点でもカッシーさんの方針のようなコミュニティは、新しく作れるのならやってみたいです。

侘助/グリッグ

僕も中井さんと少し似ていて、いまは学生さんとのつながりを大事にしています。学生さんの感性と自分たちができることを掛け合わせ、企業さんとつながって企画をするなどですね。若くいろいろな感性を持つ方々とコラボレーションしたいですね。

カッシー

まさに挑戦中の話になりますが、現在「VS.(ヴイエス)」というグラングリーン大阪にある施設でTHE CREATIVEとは逆に、1,000〜数千人を超える大規模なコミュニティづくりに、Community Designerの肩書きを頂いて、企画や設計を鋭意進めているところです。どういうビジネスモデルがよいか、人が集まってくれる仕掛けやベースを作れるか、次世代のクリエイター文化にフィットする形を試行錯誤しています。

オープンコミュニケーションエリアに移動し交流タイム

Blooming Campにあるオープンキッチンなどを備える「オープンコミュニケーションエリア」に移動し、登壇者や参加者同士で思い思いに交流を深めました。

関西クリエイターと共に描く、可能性あふれるひととき

今回のイベントは、関西でアクティブに活動しているクリエイターコミュニティーリーダー3人の熱い想いに触れられる時間となりました。

それぞれのアプローチは違えど、クリエイターの可能性を広げようとする姿勢が見られ、今後の関西クリエイターの可能性や未来が楽しみになるエネルギーが感じられました。

参加者の中にはコミュニティをしている、これから立ち上げたいという方も多く、たくさんの学びや刺激になったという声がアンケートでは多く寄せられました。

コミュニティに対する認識や、環境の大事さに気付かされたという声も多く見受けられた。一方で、本イベントの開催趣旨である「クリエイターのコミュニティ活用」については、まだまだ知られていない事実も浮き彫りになった。

今回のような取り組みで、現状に悩みながらも未来に向かって挑戦したいクリエイターへ、より多くのコミュニティ活用の選択肢が広がることが期待されます。

最後にイベントを主催したカッシーさんは、

「僕がクリエイター支援を始めた12年前は、イベントもコミュニティも少なかった。今はこうやって話せる場やつながりができ、クリエイターの可能性が広がって嬉しい」と締めくくりました。

記:THE CREATIVE / クリエイター祭り
カッシー https://x.com/strive2cu
フルカワカナコ https://x.com/ringopotage